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2018.01.28

「ボランティアを考える」の授業で路上訪問体験

「ボランティアを考える」という授業の一環で、ホームレス支援のNPO「スープの会」の活動に生徒と一緒に参加しました。新宿都庁や中央公園一帯を中心にホームレスの方々に声をかけて、コーヒーや、あら汁をお勧めしながらお話しする夜回り活動をしました。
22日に降った雪残る新宿の街を吹く風は冷たく、多くの路上生活者の皆さんは、
寒さ凌ぎにぐっすり眠っておられました。

それでも幾人かの方とお話をすることができました。
今晩は。コーヒーやあら汁は如何ですか?という言葉をきっかけに話が始まります。
スープの会の皆さんは毎週土曜日に訪問活動をしているので、たいていの人と顔見知りです。
お名前もよく把握していて、足が痛みませんか?とか、風邪が治んねえんだよ、とか。
この間の雪の日はよ、足の上に雪が積もってたよ。という方も。
風邪が2ヶ月治らない人。足が痛くて歩くのが辛いけど、日雇いの仕事に毎日出かける人。
最後の振り返りでは、「今日は新しい人がおられました。とにかく変な仕事の誘いに乗らないようにというのと、相談のためのフリーダイヤルを渡しました」という報告がされました。

初めて参加したスタッフは、みんな綺麗な格好をしていて、立っていたら路上生活の方とはわからないと話していました。また、昼間には誰も居ない通りの隅に夜は寝ている人がこんなにいるんだと驚いたという声も聞かれました。

なんで私が東大に?というキャッチフレーズの学習塾がありますが、路上生活になった人たちの実感も、そういうものなのだそうです。仕事を辞めてしまった後、再就職の口がなく、家賃も払えず、荷物をまとめて路上に出た時、自分がホームレスになったのだと初めて気がついて呆然としたと言っていた人もいました。
なんで私がホームレスに?自分がなってみるまで、ホームレスというのは自分とは関係のない人のことだと思っているのです。きっと自業自得なのだろうと思ったりもするのです。
でも、路上生活になるのは特別なことじゃない社会になっているし、一度路上に出るとなかなか戻れない社会構造になっているのです。

15年前に初めて路上訪問活動に参加しましたが、改めて感じたのは、
1人で路上の方と向き合い、その気持ちに寄り添い続けるのは難しいのだなということです。
かつて1人の人と人として出会った経験がありながら、最近ではやはり遠慮もあり、そこに寝ている人がいるのに、見て見ないふりをしていました。
日本的配慮で、じっと見ては失礼じゃないかと思ってしまったりするのです。
でも、路上の方が言うのは、自分はモノのように、そこにいてもいないように扱われる。
それは人との繋がりの断絶を意味します。ハウスレスではなく、ホームがレスなのです。
そのことを改めて思い出しました。その証拠にどの方も大変おしゃべりなのです。
人との繋がりに飢えていらっしゃるのです。

この活動のすごいところは、見方が変わる、視点が変わるということ。
個人と出会った手応えがあるということです。
僕は炊き出しに参加したこともありますが、炊き出しをして、この気持ちになれることは稀だと思います。
来週行って、今日話した方がいらっしゃらなかったら、すごく心配になる関係になれたこと。炊き出しに次の週に来てないってなっても気付けるのかどうか。
視点が変わるというのはそう言うことだと思うのです。
ボランティアを考えるというこの授業の大切なポイントはそのように、視点を変えられる経験なのではないかと思います。
路上にしゃがみこんで話した後に見えた世界は、それまでと随分違って見えました。
ぷーさん

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