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2016.06.24

研修会報告「発達障がいの子どもたちと関わる⑧」が開催されました

東京YMCA高等学院を会場に開催された、キリスト教学校教育同盟
カウンセリング研究会の第29回例会で学んだこと、感じたことのメモです。
講師は都立小児総合医療センター の副院長、田中哲先生でした。
東京YMCA高等学院が大切にしていることを、ズバリ表現してくれた内容で、
大変感激しましたので、長いですが是非最後までお読みください。

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コミュニティの理解と子供たちの居場所を考える
子供の評価が、能力で測られる時代
➡︎able abilitiesという。
英語で健常者の事は、ablebodiesという。
ableという事は、出来る出来ないで人を見ている。数値で見ている。
ablesmという言葉。able中心主義になっている。これ訳語は、障害者差別である。
極論すれば。
ableとは、その人の価値とは関係がない。
能力中心主義で測っていくと、その人の居場所はなくなる。
精神分析の人の使う言葉で、doing行為という言葉ある。
これに対応する言葉はbeing存在価値である。
今の人の評価は、見えやすい部分、doingで評価する事になる。
disability出来ないっていうだけで、障害じゃなく、たまたま今出来ないだけも含んでいる。
出来なくなるとその人の価値がなくなるわけではない。歳をとったら価値がない、じゃない。

人間はいつ頃beingの価値に目ざめるのだろう?
赤ちゃんはdoingは何もできない。その時に親が全てやってあげる。
その中で一番大切なのは、そばにいてやる事。泣いたらすぐに駆けつける人。
その経験の中でbeingの価値に気づく。でも、この社会の中で忘れ去られてしまう。
それを取り戻すのが居場所。
いるだけでOKと言われる場所が必要だ。

診断告知とは何を告げるのか?
理解する事と支える事
インクルージョンとは何か?…その子が居場所だと思えなければ、インクルードされた事にならない。

 

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診断名を知ってもらっても、特に何も起こらない。
特性の理解が始まると、その子の事を受け止め、その子がいても困らないとなる。
しかしさらに、その子の有り様をよく分かる。その子を含めてコミュニティとなって初めて
インクルードされたという事になる。
それは今の社会で普通か?というと、そうじゃない。
合理的な配慮というのは、障害特性を知ろうよというレベル。
さらにその先の、その子がいる事が大事にされる社会というところを目指す必要がある。

家族と社会をつなぐコミュティの絵

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自立した先に居場所はなく、そこに居場所を作らないとならない。
しかも、そこにはいっぱい人がいるのに、自分を知るとはいないという状況。
そこで…
家の近くの社会にまず出て行く。
そこに生まれるのがコミュニティ。コミュニティが家族のような役割を果たし、
そこから社会へ出て行く。その力をつけていくという事をやっているのじゃないだろうか。
コミュニティを居場所化出来るかどうかは、周りの子どものコミュニケーション能力に寄っている。

家族と社会に両足を置いていても受け入れられた居場所の記憶、
コミュニティという帰る場所が必要でありそれこそが居場所の意味だ。

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発達障害の子どもたちに何を提供してあげられるのか?
スキルをみにつけることも大事だけれど、いても良いんだよという事を伝えてあげたい。

質疑応答も含めてまとめ

困り感が少ないと、自覚が足りなくなりがちだが、どう対応したら良いか?
少し後押しする自己客観視をするようになると、
困り感は逆に増えるかもしれない。
その時に診断名を告げると、障害だから仕方がないという、頑張らない理由になっちゃうことも。
でも、そうだったのか、苦労したわけだと納得するかもしれない。

日本の私立学校が、居場所を壊してしまっていると思う事はあるか?
地域コミュニティに出て行かず、学校コミュニティが担うようになった時代。
そうなので、学校が全て教えなくちゃいけなくなっちゃった。
学校がコミュニティを独り占めしている状況があるのじゃないか?
そういう見方もあるのかと考えた。
学校がいかに多様なコミュニティに開いていけるかが鍵。
学校に行けないと将来がないような状況はおかしい。

発達障害と名前の付いた人は現代おおいがえ、昔は変わった人だったのではないか。
周りの生徒たちの接し方のアドバイスがないか?
doingの評価を出すのは簡単だ。beingの評価はなかなか難しい。
周りの子がその子も含めて良いか?ということ。
教師の無意識は生徒に伝わる。無意識の差別に気を配ることに尽きる。

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東京YMCA高等学院や東京YMCA libyが取り組んでいることは、まさにここだと思います。
その人の存在の肯定。その人がいることが当然で、いてくれるだけで価値があると
みんなが思っている、共に過ごせる場所になるということを、まず根底で作り上げようとしています。
高校の卒業資格やら、学力やらは、その前提があって積み上げられると思います。
「生きる力を育む」とよく言われるけれど、本当の生きる力とは、
「自分は良いものだ」「人生は良いものだ」「自分は喜ばれている」と心から信じられることではなういでしょうか。
それは、サバイバルスキルのような能力を身につけることなどでは決してないのだと思います。

☆ぷーさんでした

 

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