いのちを守る現場から考える「ユースが輝く場」―ソシアスフォーラム開催報告―
東京YMCAが2030年の創立150周年に向けて掲げる中期計画「TOKYO YMCA VISION 150」は、若いスタッフや学生ボランティアリーダーが中心となって策定しました。このビジョンには5つの行動指針があります。その一つが、「ユースが輝く場をつくります」。
ユースが輝く場とは、どのような場でしょうか。
その問いを胸に迎えた今回のソシアスフォーラム。1月31日に山手コミュニティーセンターとオンラインで開催され、東京YMCAの会員やユースボランティアリーダーなど78人が集いました。基調講演の講師には、社会福祉法人賛育会「赤ちゃんのいのちを守るプロジェクト」事務局長の大江 浩氏をお迎えしご登壇いただきました。
YMCAで31年間働いた経験をもつ大江氏は、当時の神戸YMCA総主事から教えられた「人間相手の仕事」「ネットワーカーでありなさい」という言葉を原点に、キリスト教精神を土台に歩んできた道のりを語りました。
海外で直面した「サイレント・イマージェンシー(静かなる緊急事態)」。2000年初頭には、3〜4秒に1人の子どもが5歳の誕生日を迎えられずに亡くなっていく現実がありました。そして日本国内での、妊娠に悩み、孤立し、誰にも相談できないまま出産に至る女性たち。「0日の虐待死」という言葉が示す厳しい現実に、参加者は深く耳を傾けていました。
その現実に対し、賛育会では「妊娠したかもSOS賛育会(夜間匿名電話相談)」「内密出産」「ベビーバスケット(通称:赤ちゃんポスト)」という3つの事業に取り組んでいます。批判もある中で、それでも"目の前のいのちを守る"という決意。その背景には、東京大学YMCAを母体として始まった100年以上続くセツルメントの精神と、「弱い立場に置かれた人の側に立つ」という信念があります。
「この活動が、いつか不要になる社会を目指している」
大江氏のその言葉は、VISION150が描く未来と重なります。ユースが輝くには、「子どもが安全に生まれ、安心して育ち、孤立せずに生きられる社会」という土台が必要です。その土台を守る営みが、今も続いています。
講演後は小グループに分かれて感想や意見を分かち合う時間が持たれました。あるユースボランティアリーダーは「野外活動を子どもたちの居場所にしていきたい。何かあったときに相談されるようなリーダーになりたい」と語りました。
「私たちは"微力"であっても、決して"無力"ではない」「体は食べ物でつくられる。心は開いた言葉でつくられる。未来は語られた言葉でつくられる」―――そう大江氏は話します。
ユースが輝く場をつくる。
そのために、私たちはどんな一歩を踏み出すのか。そして、どんな言葉を語っていくのか。
今回のフォーラムは、その問いを参加者一人ひとりの心に残して閉会しました。
東京YMCAはこれからも、社会の現実に向き合いながら、対話と協働を通して、若い世代が希望をもって生きられる社会を目指します。
*当日は、ボランティアリーダーによるレクリエーションタイムや、「買って応援」という形で被災地に思いを寄せる能登支援物産品販売も行われました*
参照
賛育会「赤ちゃんのいのちを守るプロジェクト」(外部リンク⇒)
子どもたちに体験の機会をー「YMCA子ども未来応援サポーター」(外部リンク⇒)